2008年 02月 08日
古い懐中時計の分解清掃してみる |
今回オーバーホールするのはヤフオクで落札した、スイス製タバンの懐中、大正時代のものらしい、古時計のサイトでは有名なタイムキーパーさんのサイトには貴重な資料がありその中で三越の販売目録に似た物があった「[瑞西(すゐつる)タバン製 九百銀(ぎん) 十六形斜子側(ななこがは) 片硝子(かたがらす) 中蓋付(なかぶたつき) 石入アンクル 」とあり大正10年のカタログである。当時の価格20円位より26円位・・・とありアバウトな書き方をしている、輸入価格の変動のためであろうか。ところで大正10年の1円が現代に換算するとどのくらいか調べてみるとおよそ1万円くらいか、とするとだいたい20万円台ということになる。もちろん物の価値という点で現代とは違うから今の20万円とは感覚的に違うのだろうが、庶民にとってはすぐにぽんと買えるような物ではなかっただろうと想像できる。こういう古い機械が今でも時を刻み続けていることには感動を覚える、はたして今の時代の物で今後80年、100年と形が残る物がどれほどあろうか。
状態だが、900銀のケースはななこ模様が非常にきれいで三つ折れ式である。大きな傷もなく風防ガラスや文字盤もいい状態だ。肝心の機械だが、懐中ケースにぶら下げるとそこそこの精度で動いているが平おきにするといきなり進み出す、テンプの振れがおかしいようだ。ゼンマイはフルに巻くと36時間は動いていたので生きているだろう。今回は分解して清掃をやってみたい。天真ホゾや受け穴の摩耗などあれば素人レベルではどうしようもないが、オーバーホールにかかることにする。
まずは秒針がとまっていてもゼンマイのトルクがかかっている場合があるので、完全に解放してやる。トルクがかかったままゼンマイが一気に解放されると香箱車(ゼンマイの入った歯車)からその後の輪列に強い力がかかり壊してしまうことがある。ゼンマイの解放はゼンマイの解放を止めているコハゼをピンセットで歯車の歯からはずす、このとき竜頭をおさえておかなければならない、竜頭を手で確保しながら逆転しつつ徐々に解放する、そうしないと前述のように一気にゼンマイが解き放たれることになり、破壊されることがある。
次に機械をケースから取り出す、竜頭を抜かなければ取り出すことはできないのでここで竜頭を抜く、竜頭はたいていささっている横あたりに小さいねじがあるのでこれをゆるめると抜ける。わりと最近の時計ではこのねじがプッシュ式になっているものもあるがこの時代の懐中ではたいがいねじ式である。ねじはゆるめるのみで、はずしてしまわない。ねじをはずすと時間あわせや巻き上げの機構がばらばらになってしまいあとで竜頭をさしこんでも機能しないからである。あとでは分解するのだがとりあえずは竜頭を抜くのみにしておく。半回転ずつゆるめながら竜頭が抜けるところで止めておく。竜頭がぬけると機械をケースから分離できる。
針と文字盤をはずす・・
針は針抜きを使い慎重に文字盤に傷を付けないように行う、針がはずれたら文字盤を機械からはずす、文字盤は機械側の側面に穴がありその中にねじがあるのでこれをゆるめると文字盤から出ている足が抜けて文字盤がはずれる。ねじはたいてい2カ所あるので両方ともゆるめる、文字盤をはずす際は足をまげないように慎重に抜く。このねじもゆるめるだけにとどめておく。
文字盤は瀬戸物なのでひびや割れが生じる場合があるので慎重に扱う。実際にこの時代の瀬戸干支はよく割れているのを見る。
文字盤をはずした状態、ベラルージュ模様が美しい。この部分はねじ巻きと時刻あわせの切り替え機構であり、押し込んだ状態では右回りでゼンマイを巻き上げ、左回りでは空回りし、竜頭を引くと歯車同士が噛み合わさり分針と時針を動かすことになる。
あとでこの裏輪列も分解する。
さていよいよ心臓部に入るが、私の場合はまずテンプをはずすことにしている、一番だいじなところなので他の作業中に傷つけかねないからである。髪の毛より細いヒゲは変形させるとたちまち正確な振動をしなくなり機能が失われる、ここを修正するのは素人の領域を超えている。熟練された時計職人の仕事であり、時計の一番重要な心臓部である。テンプをとめているねじをはずすと何やら金属片というか銀箔のようなものが落ちた。おそらくテンプの止め部分に貼り付けていたものらしい、これを受けの間に挟んで受けの高さを調節していたのだろう。時計士の苦労したあとがうかがえる。あとでこれの意味がわかった。
テンプがはずされた天真受け、アンクルとガンギ車、それに続く4番、3番、2番車が見えている。このあとさらに輪列を分解し洗浄にはいる。
ガンギ車をはずした状態
角穴車と丸穴車をはずす、このとき実は大失敗をした。角穴車は逆ねじの場合が多いのだが逆ねじのつもりで回したら実は正ねじだった。軽くねじ切れてしまった。なんとか残ったねじは取り外せたが、代用品もなく部品をなんとかさがさないといけない。
それぞれの受けをはずす。香箱車 2番、3番、4番車が見える。
各部品をはずした状態、ここまでは順調にきたが、古い時計の場合油や錆などで固着している場合がある。以前にもピンセットで軽くはずそうとしたらホゾが折れていたということもあった。あまり状態の悪いものはまるごと洗浄を一度したほうがいいかもしれない。
揮発油を使い洗浄する、はけで丁寧に洗う ひどく汚れている場合はしばらく漬けおきするがアンクルの爪石などについては接着している部分がはずれる場合があるからさっと洗う。
部品の洗浄が終われば組み付け、注油を行い、輪列は組めた、テンプも元気に振っている。しかし、角穴車のねじがないのでしばらくこのままお休み、ねじを調達しなければならない、オークションでさがしているが同じタイプのものはまだ入手できていない。
状態だが、900銀のケースはななこ模様が非常にきれいで三つ折れ式である。大きな傷もなく風防ガラスや文字盤もいい状態だ。肝心の機械だが、懐中ケースにぶら下げるとそこそこの精度で動いているが平おきにするといきなり進み出す、テンプの振れがおかしいようだ。ゼンマイはフルに巻くと36時間は動いていたので生きているだろう。今回は分解して清掃をやってみたい。天真ホゾや受け穴の摩耗などあれば素人レベルではどうしようもないが、オーバーホールにかかることにする。
まずは秒針がとまっていてもゼンマイのトルクがかかっている場合があるので、完全に解放してやる。トルクがかかったままゼンマイが一気に解放されると香箱車(ゼンマイの入った歯車)からその後の輪列に強い力がかかり壊してしまうことがある。ゼンマイの解放はゼンマイの解放を止めているコハゼをピンセットで歯車の歯からはずす、このとき竜頭をおさえておかなければならない、竜頭を手で確保しながら逆転しつつ徐々に解放する、そうしないと前述のように一気にゼンマイが解き放たれることになり、破壊されることがある。
次に機械をケースから取り出す、竜頭を抜かなければ取り出すことはできないのでここで竜頭を抜く、竜頭はたいていささっている横あたりに小さいねじがあるのでこれをゆるめると抜ける。わりと最近の時計ではこのねじがプッシュ式になっているものもあるがこの時代の懐中ではたいがいねじ式である。ねじはゆるめるのみで、はずしてしまわない。ねじをはずすと時間あわせや巻き上げの機構がばらばらになってしまいあとで竜頭をさしこんでも機能しないからである。あとでは分解するのだがとりあえずは竜頭を抜くのみにしておく。半回転ずつゆるめながら竜頭が抜けるところで止めておく。竜頭がぬけると機械をケースから分離できる。
針は針抜きを使い慎重に文字盤に傷を付けないように行う、針がはずれたら文字盤を機械からはずす、文字盤は機械側の側面に穴がありその中にねじがあるのでこれをゆるめると文字盤から出ている足が抜けて文字盤がはずれる。ねじはたいてい2カ所あるので両方ともゆるめる、文字盤をはずす際は足をまげないように慎重に抜く。このねじもゆるめるだけにとどめておく。
文字盤は瀬戸物なのでひびや割れが生じる場合があるので慎重に扱う。実際にこの時代の瀬戸干支はよく割れているのを見る。
文字盤をはずした状態、ベラルージュ模様が美しい。この部分はねじ巻きと時刻あわせの切り替え機構であり、押し込んだ状態では右回りでゼンマイを巻き上げ、左回りでは空回りし、竜頭を引くと歯車同士が噛み合わさり分針と時針を動かすことになる。
あとでこの裏輪列も分解する。
さていよいよ心臓部に入るが、私の場合はまずテンプをはずすことにしている、一番だいじなところなので他の作業中に傷つけかねないからである。髪の毛より細いヒゲは変形させるとたちまち正確な振動をしなくなり機能が失われる、ここを修正するのは素人の領域を超えている。熟練された時計職人の仕事であり、時計の一番重要な心臓部である。テンプをとめているねじをはずすと何やら金属片というか銀箔のようなものが落ちた。おそらくテンプの止め部分に貼り付けていたものらしい、これを受けの間に挟んで受けの高さを調節していたのだろう。時計士の苦労したあとがうかがえる。あとでこれの意味がわかった。
テンプがはずされた天真受け、アンクルとガンギ車、それに続く4番、3番、2番車が見えている。このあとさらに輪列を分解し洗浄にはいる。
ガンギ車をはずした状態
角穴車と丸穴車をはずす、このとき実は大失敗をした。角穴車は逆ねじの場合が多いのだが逆ねじのつもりで回したら実は正ねじだった。軽くねじ切れてしまった。なんとか残ったねじは取り外せたが、代用品もなく部品をなんとかさがさないといけない。
それぞれの受けをはずす。香箱車 2番、3番、4番車が見える。
各部品をはずした状態、ここまでは順調にきたが、古い時計の場合油や錆などで固着している場合がある。以前にもピンセットで軽くはずそうとしたらホゾが折れていたということもあった。あまり状態の悪いものはまるごと洗浄を一度したほうがいいかもしれない。
揮発油を使い洗浄する、はけで丁寧に洗う ひどく汚れている場合はしばらく漬けおきするがアンクルの爪石などについては接着している部分がはずれる場合があるからさっと洗う。
部品の洗浄が終われば組み付け、注油を行い、輪列は組めた、テンプも元気に振っている。しかし、角穴車のねじがないのでしばらくこのままお休み、ねじを調達しなければならない、オークションでさがしているが同じタイプのものはまだ入手できていない。
by freemanbox
| 2008-02-08 14:51
| 古時計をいじる